連休で読んだ一冊。

なんかストーリーが『世界の中心で愛を叫ぶ』に似てるとか言われることがあるらしいです。
確かに「死にゆく大切な人を前にして僕は何ができるのだろう・・・」的なところはありますが、舞城と片山比べてもなあ・・・。
ということで舞城ファン以外は読まないほうが無難といったところでしょうか。

はて、これを読み終わって一応現在刊行されている舞城作品は読破ということなので、ここで舞城に関して個人的な総括を。

 僕は舞城作品は『阿修羅ガール』からはいったわけで。なんというかとにかく衝撃だった。なんだこのぶっ飛んだ作家はと思いつつも次々と読み進めてしまう。読後感は、よく意味がわからなかったがなんとなく面白かった。とにかく他の作品も読んでみようと思ったわけで。そこで読んだ『煙か土か食い物』が非常に面白かった。メフィスト賞を受賞している作品だからそこまでぶっ飛んだストーリーではなく(ぶっ飛んでることにはぶっ飛んでいるが話が崩壊しない程度にという意味)、文章のテンポ、圧倒的文圧、そしてなにより窒息死するような家族愛に感動した。いや、感動したとか綺麗なものじゃなくて、とにかく圧倒されたという表現が正しいかもしれない。そんなわけで『煙か土か食い物』で完全に舞城信者となった僕は、その後ひたすら舞城作品を読み漁った。
 舞城作品は主に二種類に分類できて、ミステリィ系と純文学系がある。純文学とか言うと堅いイメージだけど、舞城作品に堅い作品なんてあるはずもなく、ただ三島由紀夫賞をとったり、芥川賞候補にあがったりしているのでそう呼んでいるだけ。純文学系の舞城作品はとにかくぶっ飛んだストーリーに登場人物の心情をぶちまける、そんなイメージの作品が多い気がする。対するミステリィ系は、確かにぶっ飛んでいるけれど話の主軸はミステリィであり、いきなり主人公の精神世界へ飛び立ったりはしない。そんな舞城作品に共通しているのは愛だ。それも不器用でがむしゃらでかっこ悪いけどかっこいい家族愛だ。僕は舞城ほどかっこ悪いけどかっこいい愛を表現できる作家を知らない。僕が舞城作品を好きな理由は、そのテンポよく読める(人によるかと。)独特の文章と、ぶっ飛んだストーリー、そしてなにより愛だ。

 さて、ここで舞城作品をおすすめ度も考慮して個人的にいくつかランク付けしてみようかと。
 まず一番好きな作品は『煙か土か食い物』。とにかく圧倒された。舞城入門としても悪くはないかと。
 二番目は『世界は密室でできている。』。ミステリィのようで青春小説。ラストシーンは感動。舞上入門には一番おすすめ。
 三番目は『熊の場所』。純文学系舞城作品で一番読みやすいかと。
 四番目は『みんな元気。』途中でストーリーが崩壊しちゃうあたりはちとつらいが、「大丈夫、みんな元気。」のセリフが意味はわかんないのに気持ちはわかるところがすごい。
 逆に絶対に最初に読んではいけないのが『九十九十九』。ぶっ飛びすぎです。もはやついていけない。これは舞城作品を何冊も読んで、舞城ファンを自称できる人以外は読まないほうがいいかと。

 
以上舞城信者の戯言でした。



ISBN:4062125684 単行本 舞城 王太郎 講談社 2004/08/07 ¥1,575

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