というわけで今日はバイトだった。と言っても僕のバイトは夕方からなので僕には自分の自由にできる土曜日という時間が半日以上ちゃんと与えられていたんだけれど。そう、けれど実際に僕がやったことと言えば寝て、起きて、風呂に入ったくらいだ。細かく言えば歯を磨いたとか、服を着替えたとか、テレビを少し見たとかもあるけど、それらはどれも平日にいつもやっていることであって、休日、土曜日という特別な日を使わなければできないことじゃない。なんだかせっかく買ったアイスを落として台無しにしてしまったような哀しい気持ちで僕はバイトへ向かう。
 僕のバイト先は居酒屋で平日と比べて土曜日は暇だ。だが暇=楽というのは肉体的には真だけど、精神的には偽だ。僕は暇でもまわりも暇とも限らないし、自分が忙しいのに暇そうにしてるやつがいたら不快なのは当然だ。そういうわけで僕は無理やり仕事を探して、無駄に何度も同じところを掃除したりする。やっぱり、暇すぎるくらいなら忙しすぎるくらいのほうがいい。
 結局、今日はあまり人がこないということで11時前にはあがり帰宅。途中ビールを買って帰りひとり家で飲む。ああ、やっぱり忙しい仕事で疲れきったあとのビールのほうが美味い。社会人はあのビールのために仕事をがんばれるんだと僕は確信している。
 労働というスパイスがあまり効いていないビールを片手に僕は読みかけの本を読み出した。数ページ読み進めたところで煙草に火を付ける。煙を口内で燻らせゆっくりと吐き出す。室内に拡散していく紫煙。同時に広がる甘いチェリーの香り。コーヒーが飲みたくなった僕は薬缶を火にかけ、換気のために窓を開けた。吹き込む冷気。もう10月も半ばを過ぎた、夜はそれなりに冷え込む。アルコールで火照った顔に冷たい空気が気持ちいい。再び数ページ読み進めたところでお湯が沸騰する音が聞こえた。火を止めインスタントコーヒーを淹れる。最近コーヒーはいつもブラックだ。不純物の濃度は低いほうがいい。コーヒーを啜り、二本目の煙草に火を付ける。酒と煙草も合うがコーヒーと煙草も合う。そして活字も。
 ひんやりと静まり返った夜、コーヒーと煙草を片手に読書。多分僕は最高ではないが決して最悪ではない休日を過ごしているに違いない。
 まあもう日曜日なんだけど。

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