文芸評論書だが、舞城王太郎の『ぼくのお腹の中からは、たぶん「金閣寺」が出てくる』、『私たちは素晴らしい愛の愛の愛の愛の愛の愛の愛の中にいる。』が目当てで読んでみた。

上記の部分だけ読んでもよかったのだけれど、順番に読んで欲しいとあったので順番に最初から。

「文学」と「サブカルチャー」、「青春小説」と「探偵小説」と。

意外と面白い。そして何より、「ぼくのお腹の中からは、たぶん「金閣寺」が出てくる」は、その前章を読んでいないと全く意味が分からない。

しかし、前章の流れを汲んだ上で読むと、舞城王太郎の凄さというのが身にしみてよく分かる。

「青春小説の殺害」と「探偵小説の手法」。なるほど。

前章の問題提起→舞城の小説の流れだが、前章はすなわち、舞城の小説に対する解説ととることもできる。

意味不明なことが多い舞城の小説だが、解説されてみるとなるほど、と驚嘆せずにはいられない。

そして、同時収録の愛媛川十三の「いーから皆密室本とかJDCとか書いてみろって」も秀逸だ。

他にも同じことを言っている人はいるのかもしれないが、「文学」と「文楽」。そして「音楽」と「文楽」。なるほど。わかりやすい。

やや余談気味だが、本書の中で作者が舞城王太郎と同列に褒め称えていた作家に古川日出男という人がいる。

もちろん名前くらいは知っていたが、一度も著作を読んだことがなかったので、これを期に読んでみた。それについてはまた別件で。

とりあえず本書の感想をまとめると、舞城ファンは必読。文学とかサブカルとか好きな人も必読。

後の人は好きにすればいいと思う。

とりあえず僕は楽しめました。

ISBN:4862380425 単行本 愛媛川 十三 バジリコ 2007/03 ¥1,575

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